1986.9 ミナミ美術館(電気街にあった美術館)

リーフレット

 このリーフレットは、ミナミ美術館が1986年に作ったものです。展覧会のタイトルは「ダリ愛の宝飾展」となっていますが、「ポルト・リガトの聖母」(全画集No.981)がメインに扱われています。また、展覧会の期間が9月3日~12月28日と記載されていますが、一応の区切りであり、この美術館が無くなる1989年6月までは、展示が続いていたのです。その後はJR鎌倉駅前のダリ宝飾美術館へ展示の場所を移しました。

 

宝飾彫刻

 私は、この美術館で初めてダリの宝石彫刻を見ました。斬新なアイディアによる作品ばかりでした。(言葉を変えると悪趣味と言えるかもしれません。) これらの作品は、ダリの原画をもとにしてNYのアレマニー社が制作したものです。37点の作品が、そのもととなった原画と一緒に展示されました。
 全体としては、キリスト教に関係する作品が多いです。また、絵のモチーフとして登場する、柔らかい時計や宇宙象などもありました。
 作品の中で、最も良いと感じたのは、「時間の眼」というブローチでした。この作品はリーフレット裏側の右上に示されています。瑪瑙細工で出来た青みのある時計の目玉の周りを、90個のダイヤモンドがはめ込まれたプラチナの枠で囲い、眼の形にしたものです。
 作品の中には電気仕掛けのものがあります。「王家の心臓」という作品です。王冠の乗った、24金で出来たハート型の心臓の中に、鎧のように連結されたたくさんのルビーが鼓動するものです。その他には、電気仕掛けの花などもありました。
 この展覧会の図録は「妻ガラに捧げる・・ダリ愛の宝飾」にまとめられています。書籍3-1986-99 を参照してください。

ポルト・リガトの聖母

 この絵は現在、福岡市美術館にあります。ミナミ美術館で展示される前に一般公開されたことは無かったのではないでしょうか。というのは、所有していたヴィーヴァーブルック夫人の図書館から持ち出すには、窓かドアを壊して広げる必要があったからです。
 初めてこの美術館へ行った時、私は「ポルト・リガトの聖母」(全画集No.981)を直接見ることが出来るということで、頭の中がいっぱいでした。初めは、順路の通り宝飾を見ていましたが、落ち着いて見ることが出来ませんでした。そのため、途中の宝飾は後まわしにして、「ポルト・リガトの聖母」の前に行ったのを覚えています。まったく自分勝手な感情だったのですが、「ポルト・ガリトの聖母」が私を待っていたと感じて、思わず、「遅くなってごめん」と言いそうになってしまいました。ハイテンションの私だったのです。これと同じ感情は、グラスゴー美術館の「十字架の聖ヨハネのキリスト」(全画集No.1003)の前でもありました。 この作品「ポルト・リガトの聖母」の詳細は油絵0981 を参照してください。 

ティトゥアンの会戦

 この美術館には、「ティトゥアンの会戦」(全画集No.1207)が展示されていた時期がありました。現在は、福島県の諸橋近代美術館で所蔵しています。

電気街の美術館

 ミナミ美術館は東京、秋葉原電気街のど真ん中、ミナミ電気館7階にありました。ビルの屋上にはダリの看板が取り付けてあって山手線からよく見えました。今思えば、写真を撮っておくべきでした。
 このチラシは、1986年にミナミ電気館の中で配っていたものです。電化製品の宣伝とダリ愛の宝飾展記事が並んでいるのは、世界でこの一枚だけだと確信しています。

入場券

 この2枚は入場券です。3回行ったはずなのですが、2枚しか残っていません。