更新日:2003/04/12
英語タイトル | Christ of Saint John of the Cross(参照画像) |
制作年 | 1951年 |
大きさ | 縦205.1*横115.8cm |
所在 | グラスゴー美術館 |
著作権所有者の許諾未了のため映像を表示していません。TASCHENの全画集を参照ください。上記No.は全画集に表記のナンバーです。 (参照画像はallposterさんです。) 管理人abe
管理人の感想 |
暗い空を背景に、スポットライトをあびて浮び上がっているキリストの肉体が神々しい。ダリが描くパン同様に、黄金の輝きがずっしりと心に沁みます。
ポルト・リガトの静けさを支配しているようです。
構図 |
この絵の構図を端的にいうと、左右対称で逆三角形の中に円があるものになっています。これは、ダリが「宇宙的な夢」を見た時の原子核のイメージであると言っています。この作品をそのような観点で見てみると、そのように感じられてしまうのが不思議です。
キリスト |
キリストをこの角度で描いたものは、ダリが初めてだと思います。ダリは、このキリストを16世紀のスペインの神秘主義者、十字架の聖ヨハネ(サン・ファン・デ・ラ・クルス)の絵から着想を得ています。
解説で「キリストを上から見下ろした角度で・・」などと説明している記述がありますが、「水平に置かれた十字架に架けられたキリストを下から見上げている」と説明するのが正解だと考えます。

3人の登場人物 |
この絵のポルト・リガトの岸辺には3人の人物が描かれています。
画面の左端でロープ(もしくは網?)を持っている人物は、ベラスケスの「ブレダの陥落」の習作に描かれています。
中央の船の脇に立っている人物は、ルイ・ル・ナンの「家の前に立つ農民」に描かれています。
画面右側の石の桟橋の上にいる人物については不明です。

グラスゴー美術館 |
この絵がロンドンのルフェーブル画廊の個展で展示されている時に、当時グラスゴー美術館館長だったハニマン博士の目に留まりました。12,000ポンドの値が付いていましたが、最終的には著作権込みで8,200ポンドでグラスゴー美術館に買い取られました。当時としてはものすごく高価な買い物でした。
しかしながら、この「十字架の聖ヨハネのキリスト」の絵葉書はグラスゴー美術館の売上第1位を保っています。
模写 |
私はこの作品をグラスゴーへ行って直接見てきました。詳しくは「訪問7」を参照してください。
また、この作品を模写しています。詳しくは「模写1003」を参照してください。