2012.10 メトロポリタン美術館

2013/11/04資料

「超立方体的人体(架刑)」を所蔵

 

NYのメトロポリタン美術館には「磔刑(超立方体的人体)」があります。美術館正面に向かって左側一番奥の(Modern andContemporary)展示エリアの一番端部の突き当りに展示してありました。ワシントンのナショナルギャラリーにある「最後の晩餐」と同様にコレクションの中心的な位置にはありません。
 この作品は、単なる宗教画ではなく、幾何学がメインのテーマになっています。すなわち、副題の超立方体とは4次元での立方体のことを意味しています。3次元の立方体(正方体)を2次元に展開すると十字架状の平面になりますが、4次元の立方体を3次元に展開すると、この絵に描かれているような8つの正方体になります。このことについては「油絵1043」を参照願います。
 書籍1-1998-09によると、ダリはラモン・リュルの「新幾何学」を読んで完全な立方体を見出したと言っています。また、リュルの理論に触発されて建築家ファン・デ・エレーラが「立方体形態論」を書き、その著作にインスプレーションを得たダリがこの作品を描いたと述べています。 
 上の写真は、来館者の一人に撮っていただいた作品の前に立つ私です。通路になっているので撮影のタイミングが難しかったです。この美術館はフラッシュを使用しなければ写真撮影可能です。
 この作品を私が直接観るのはこの時が初めてでしたが、私はこの作品の模写をしています。「模写1043」

「超立方体的人体」の展示状況
一番奥の正面にあって、照明で浮き上がっている感じです。しかし、ここは幅広の廊下(通路)です。
来館者総数が多いので、なかなか作品全体の撮影ができません。
 若者達は抽象画よりは興味深く観ていくようです。
廊下の突き当りなので、作品の後ろ側は非常口になっています。
 額はモダンアートではなく宗教画にふさわしい物が使われています。
ガラがとても神聖に描かれています。ガラの目は見えませんが、ガラの視線がこの絵を引き締めているように感じられます。
キリストの肉体が白く輝いています。まるで光を発しているようです。
 ダリが描いたキリストには共通点があります。(ただし、「最後の晩餐」以外)
 それは、キリストの顔が見えないということです。このことは宗教的な理由なのか、ダリの特別の考え方に基づくものなのかは、私には分かりません。
作品の解説です。
立方体の下端部付近を拡大して撮影しました。
 釣り針似た傷がついています。傷はこの部分のみでなく、あちこちにありました。
 また、額の表面(ガラス?)に付着した埃にお気づきでしょうか?誰かが指で擦った跡が付いていますね。このガラスの掃除はどの程度の頻度で行っているか分かりませんが、あまり大事にされていない印象です。
その他、絵の参照画像
美術館とその周辺

グッゲンハイム美術館からセントラルパークを通ってメトロポリタン美術館へ行きました。とてもいい天気で沢山の人がセントラルパーク内をジョギングや散歩をしていました。
 美術館巡りは思った以上に疲れます。あの中途半端な歩き方が疲れを助長しているようです。健康的なジョギングの姿が羨ましく感じられました。