全画集1098 最後の晩餐

更新日:2003/05/24

英語タイトル The Last Supper(参照画像
制作年 1955年
大きさ 縦165.7*横267.3cm
所在 ワシントンDC、ナショナルギャラリー

 著作権所有者の許諾未了のため映像を表示していません。TASCHENの全画集を参照ください。上記No.は全画集に表記のナンバーです。 (参照画像はアートオブポスターさんです。) 管理人abe

管理人の感想

 ポルト・リガトが世界の中心で、背景の黄金に輝く雲が、静かで神秘的な雰囲気を醸し出しています。また、完全な左右対称が、均衡を象徴しているようです。

キリスト

 画面の中心にいるのは、もちろんキリストです。この絵の中で唯一顔を見せています。ダリの描くキリストは、大部分が顔を見せていませんから、この絵は例外と言えます。キリスト教のことは良く分からないのですが、神の顔は描かないことになっていると聞いたことがあります。そのことに関係しているのでしょうか。
 絵を見て分かるように、キリストの体は下半身が透明になっていて、ポルト・リガトの小船が透けて見えます。また、キリストの影がテーブルに無く、赤ワインの入ったグラスに光が当たりグラスの影を作っています。見かたによっては、下半身が地中海の中に浸っていると理解できるかもしれません。このことは、上部で腕を左右に広げている(神?)にも共通しています。
 ダリはこの絵のために、ハンサムな男性モデルを頼みました。私の正直な第一印象は、「アラン・ドロンに似ている」でした。誰がモデルだったのでしょうか。髪の毛から判断すると「十字架の聖ヨハネのキリスト」のモデルとは違うようです。

12という数字

この絵の中には、12という数字が出てきます。キリストを取り囲む12使途と、正12面体です。また、キリストの右手は、親指と人差し指をひろげて、12を数え終えたばかりにも見えなくもないです。(これは、まったくの私説です)
 12という数字は、一種ユニークな数字です。一年の月数であり、時計の時刻であり、暦の基本となる数字です。
 この絵の基本テーマは、キリストの物語に見えますが、実は「12」が基本テーマなのではないでしょうか。
 

宗教画

 ダリの母はカトリックで、ダリ自身もカトリックの洗礼を受けました。ダリの宗教画はその表現方法において、奔放な想像力と難解な解釈を伴って描かれ、賛否両論を生みました。「最後の晩餐」はアメリカ人のチェスター・デイルによって、ナショナルギャラリーへ寄贈されましたが、病的な強いエロティシズムを表現するものだという非難をあびまた。
 それが理由がどうかは知りませんが、私がナショナルギャラリーを訪ねた時は、この絵は他の絵とは一緒に展示されておらず、インフォメーションの壁にありました。なお、ナショナルギャラリーについては、「ダリを求めて」を参照してください。

玄関先での失敗

 ナショナルギャラリーで手に入れたポスターを、以前住んでいた集合住宅の玄関先に掛けていた時期がありました。この絵を見て感激した宗教団体の方から強い勧誘を受けたことがありました。信者でない自分が宗教の絵を掲げ、紛らわしい事をしてし申し訳なかったと反省しています。