全画集0938 レダ・アトミカ

更新日:2003/04/06

英語タイトル Leda Atomica(参照画像
制作年 1949年
大きさ 縦61.1*横45.3cm
所在 フィゲーラス、ダリ劇場美術館

 著作権所有者の許諾未了のため映像を表示していません。TASCHENの全画集を参照ください。上記No.は全画集に表記のナンバーです。 (参照画像はallposterさんです) 管理人abe

管理人の感想

 笑顔のガラがみずみずしく描かれていて、ガラを中心としたダリの世界が覗えます。羽を広げた白鳥と伴に生命力を感じさせます。

レダ=Leda

 タイトルに使われている「レダ」は神話に登場する美しい魅力的な女性です。レダはスパルタの王テュンダレオスと結婚しましたが、レダの魅力は大神ゼウスの心をも虜にしてしまいました。ゼウスはテュンダレオスが戦に出て留守の時に、白鳥に変身してレダを訪ねました。レダは気品のあるその白鳥を気に入って可愛がります。
 やがて白鳥の姿のゼウスはレダと交わり、二つの卵を産みました。ひとつの卵からは双子の兄弟カストルとポリュデウケスが生まれ、後にふたご座になりました。もうひとつの卵からは双子の姉妹ヘレネとクリュタイムネトスラが生まれ、後にトロイへ行くことになりました。

隠された2人

この絵の中には、2人の人物が隠されています。画面右の一番手前側の頭部の中に、アルベルト・アインシュタインの横顔があります。アインシュタインは、核エネルギーの基本となる E=mC2 を導いた科学者です。
 また、2本の木で頭部の形に描かれている部分には、ジークムント・フロイトの顔があります。左上の拡大した絵で解ると思います。フロイトは精神分析学の学者で、夢判断などの著書があり、ダリの絵画に大きな影響を与えています。
 この隠された2人の顔は、単なる隠し絵であり、ダブルイメージではありません。この絵でダブルイメージと言えるのは、2本の木で描かれている頭部です。

空中浮揚

ダリはフィリップ・ハルスマンと共同で写真撮影をしました。それらの写真にはダリを含めた全てのものが空中に浮かんでいる状態のものもあります。その中の一枚には猫や椅子やイーゼルばかりか、水までもが空中に浮かんでいて、右端には「レダ・アトミカ」が登場しています。
 ダリが空中に浮かんだ物体を絵にするようになったきっかけは、広島の原爆投下だと言われています。量子力学の絵画的解釈とでも表現すればよいのでしょうか?