更新日:2002/11/23
英語タイトル | One second before awakening from a dream caused by the flight of a bee around a pomegranate(参照画像) |
制作年 | 1944年 |
大きさ | 縦51.1*横40.6cm |
所在 | スイス、ルガノ・カスタニョーラ、ティッセン・ボルネミッサ財団 |
著作権所有者の許諾未了のため映像を表示していません。TASCHENの全画集を参照ください。上記No.は全画集に表記のナンバーです。 (アート オブ ポスターさんに参照出来るポスターがあります。) 管理人abe
管理人の感想 |
画面全体に、危うさがダイナミックに展開されている。冷たくて狭い石盤に横たわるガラ、銃剣、爪を剥き出しにした虎、刺々しい魚、不安定な岩、バッタのような足を持つ象。全ての登場者が一瞬の後に崩壊(落下)しそうに感じます。
この絵の創造者 |
この絵の主題は「夢」です。夢に関するフロイトの説明によれば、目覚めの原因となる瞬間的な出来事によって、一連の長い物語を瞬時に夢として見るそうです。死に直面した人が、一瞬で一生の出来事を思い出すと言われていることに似ている事象だと思います。
この絵のタイトルのとおり、この絵に現されている映像は、一匹の蜜蜂によって引き起こされたものです。画面を見て最初に目に飛び込んでくるのは2頭の虎で、画面の中央で一番目立っていますが、画面の手前の柘榴の周りを飛んでいる小さな蜜蜂がこの絵の世界の創造者なのです。
横たわるガラ |
この絵の夢の中の主人公は、寝ているガラです。ガラはダリにとって母であり支配者でありマネージャーです。ガラは強い意志をもった女性として、また、後年は聖母として描かれることが多いですが、このように寝ている姿として描かれている作品は珍しいと言えます。「ホメロス賛歌」にも似たような姿で登場します。
コラージュ |
写真や印刷物を貼り合わせて作品を制作することを、コラージュと言います。この作品で、コラージュは使われていませんが、2頭の虎は、あるサーカスのポスターから写したものです。貼り合わせではないものの、コラージュの感覚で制作されたと言えます。
写真を見ながら描いたものは、どうしても平面的になりがちです。その様に見るからか、雌虎の顔に奥行きが感じられないのは私だけでしょうか?
足の細長い象 |
この絵の遠影に、極端に足の細長い象が登場しています。この象をダリが描いたのはこの作品が最初ではないかと思います。その後「聖アントニウスの誘惑」(全画集No.906)等にしばしば登場します。
陸上最大の動物の足をバッタの様な細長い足に変えている様は、危ういイメージを象徴的に表わしていると思います。
この象の彫刻が「Space Elephant」(宇宙像)のタイトルで諸橋近代美術館にあります。ダリは、「ベルニーニの象」と表現しているようですが、意味がよく分かりません。誰か詳しい方がいれば(ダリの掲示板)にてお知らせください。