その他3(ダリと映画)

 このページでは、ダリが関係または関連した映画を整理したものです。脚本から関わっているものや、ダリの作品が映像として登場するものまで様々です。このページを作るきっかけは「ダリの掲示板」で「ダリ天才日記」等が話題になり、いちぶさんが集約した記述をしてくれたことです。このHP公開時には考えていなかった項目でしたが、このHPを訪れる方々の意見等でできたページと言えます。
 現時点で私が承知している映画のみを記載していますが、このページに採り上げられているもの以外に関係する映画の情報をお持ちの方は、「ダリの掲示板」にてお知らせ下さい。

2002/07/06作成

題名・監督・制作年 ダリとの関係
アンダルシアの犬
ルイス・ブニュエル
1928
 レシデンシアで友人になっていたルイス・ブニュエルと夢の話をしていて、その夢から映画が作られました。ダリは「昨夜、蟻が両手に群がる夢を見た。」と言い。ブニュエルが「誰かの目を剃刀で切る夢をみた。」と言いました。この映画はストーリーや論理的な説明をいっさい排除するという前提で進められ、ダリ自身もロープに引きずられる修道士として出演しています。
 約15分の短編映画
黄金時代
ルイス・ブニュエル
1930
 「アンダルシアの犬」と同様にブニュエルと共同で制作する予定だったのですが、ダリは脚本の一部に参加したのみでした。ナンセンスがメインの映画で、比喩と象徴化の連続であまりにも暴力的で反キリスト教的であったために、宗教団体や右翼団体からの妨害があり、映画館入り口に展示していたシュールレアリスム絵画が破壊され爆弾まで投げられるしまつで、すぐに上映禁止となってしまいました。
白い恐怖
アルフレッド・ヒッチコック
1945
 記憶喪失の男を精神分析するシーンで、男の夢を視覚化したデザインをダリが担当しました。ヒッチコックは「夢のシーンならダリの絵」と言っていました。
デスティノ
(計画のみ・監督なし)
1945~1947
 ヒッチコックの映画「白い恐怖」の成功に刺激されたウォルト・ディズニーは、アニメーション映画「デスティノ」の制作をダリに提案し、ダリは数枚のスケッチを描きましたが映画は実現しませんでした。
ベラミの私事
アルバート・レーウィン
1947
 モーパッサンの小説「ベラミ」を脚色した作品。監督は映画の小道具として絵が必要と考え、「聖アントニウスの誘惑」がテーマの絵のコンテストを行い、ダリは応募しましたが、落選でした。映画そのものは不評で上映打ち切りになり、映画史上に何も残しませんでしたが、エルンストなどが描いた「聖アントニウスの誘惑」が複数生まれました。(油絵0906参照)
ミクロの決死圏
リチャード・D・フライシャー
1966
 アイザック・アシモフ原作のSFの映画です。医師団と潜水艇がミクロサイズになって、患者の体内に入り内部から患部の治療をするというストーリーです。人間の体内の様子がCGを使わずに特撮で撮影されているのが新鮮に感じられます。
 ダリはこの体内の様子のデザインを担当し、幻想的な視覚効果が実現したとも言われていましたが、実際にはプロモーション用のポスターを作製はしたものの使われなかったというのが本当らしいです。このことはdalistさんからの情報提供です。dalistさん、ありがとうございました。2009年7月10日abe
華氏451
フランソワ・トリュフォー
1966
 レイ・ブラドベリの近未来SFを映画化したものです。読書を禁止する社会において、秘密の図書館が当局に発見され、焼却されることになります。焼却直前にダリの画集がアップで映し出され、ページが風でめくれてダリの絵が次々に現われ、焼却される本が単なる紙の集合体ではなくて文化そのものであることを訴えているようです。
 この画集はTHE WORLD OF SALVADOR DALI で、「ダリの本棚」のDALI DE GALAに相当するものです。

ルパン三世(ルパンVSクローン)

吉川惣司
1978

 主人公のルパンがクローン人間の基地に乗り込んだ時に「ナルシスの変貌」の画面を水しぶきをあげながら駆け抜けるシーンがあります。
ダリ天才日記
アントニー・リバス
1990
 ダリの半生の伝記としてつくられました。ダリとガラがアメリカに到着するところから始まり、新聞記者に自分の過去についてのインタヴューを受けたり、アメリカでの行動を紹介しています。
 実際はダリのスキャンダラスな紹介映画であり、ダリの幼児性や絵への取り組み、ガラの役割の大きさ等が表現しきれていないと思います。