作品の大きさは、画集での寸法表示でしか知ることが出来ません。美術館へ行ったとしても概数の見当はつきますが、その場で測ることは出来ないと思います。画集を編集されている方も、全ての作品を直接見ることは出来ないのですから、間違いがあってもおかしくありません。これは、ダリの作品に限ってではないはずです。
2つの大きめな作品の寸法表示を、画集毎の一覧表にしてみました。あまりの違いの大きさに驚かれると思います。画集を複数持ってる方は下の表を参考に確かめてみてください。
このページでは、出版社を責めるためにこの事柄を載せているのではありません。充実した画集等を編集していただいていることには深く感謝しております。ただ、大きめの絵の場合は、その大きさが特定しにくいものなのだということを理解していただきたいのです。
ポルト・リガトの聖母(1950)「全画集No.981」 |
画集名称 | 出版社名 | 表示寸法 (縦×横)cm |
縦横比 |
世界の巨匠シリーズ、ダリ | 美術出版社 | 366×244 | 1.500 |
アートギャラリー現代世界の美術18巻ダリ | 集英社 | 275×201 | 1.368 |
ダリ全集Ⅲ | 講談社 | 144×96 | 1.500 |
<超ワイド版>現代世界美術全集25ダリ | 集英社 | 366×244 | 1.500 |
DALI(三越美術館でのダリ展ガイド) | NTVヨーロッパ | 275.3×209.8 | 1.312 |
週刊美術館33ダリ・エルンスト | 小学館 | 144×96 | 1.500 |
この作品は、現在、福岡市美術館にありますが、その前はミナミ美術館にありました。ミナミ美術館で保管していた時に集英社の「アートギャラリー現代世界の美術18巻ダリ」が発行されました。また、福岡市美術館から借りて三越でのダリ展が催されています。
作品を直に見たり測ったりできる時期に出版された画集での表示寸法が一番信頼できるとすれば、275.3*209.8が実際の大きさであると考えられます。私はこの作品を3回見ていますが、これに間違いないと思います。
福岡市美術館の方もしくは直接見に行ける方がいらっしゃれば、「ダリの掲示板」にてお知らせください。
2001/4/22、管理人abe
この内容については、サルバドール・ノリさんが2001年5月12日に福岡市美術館へ行き、美術館員の方の了解のもと、実測してきていただきました。横寸法=約2m10cmだったそうです。ノリさん、ありがとうございました。(ダリの掲示板に詳細があります。)
2001/5/17、管理人abe

上のコピーは1996年2月27日の朝日新聞に、福岡市美術館が「ポルト・リガトの聖母」を購入することを掲載された記事の写しです。絵の脇に立っている人と較べて見ると、
縦=約2.7m
横=約2.0m
が妥当であるとうかがえます。
また、記事には縦=275cm、横=201cmであると紹介されています。
しかしながら、福岡市美術館が所有した後に催された三越美術館における「ダリ展」のガイドに記載された寸法表示が一番信頼できると考えられます。
世界公会議(1960)「全画集No1185」 |
画集名称 | 出版社名 | 表示寸法 (縦×横)cm |
縦横比 |
アートギャラリー現代世界の美術18巻ダリ | 集英社 | 400×300 | 1.333 |
ダリ全集Ⅲ | 講談社 | 400×300 | 1.333 |
<超ワイド版>現代世界美術全集25ダリ | 集英社 | 300×254 | 1.181 |
DALI(三越美術館でのダリ展ガイド) | NTVヨーロッパ | 299.7×254 | 1.180 |
ダリ展 | 毎日新聞社 | 300×256 | 1.172 |
この作品も大きな作品です。セントピーターズバーグのダリ美術館に収められています。私はその美術館で実際に見ていて、大きいということだけは覚えていますが、寸法まではよく分かりません。
画集での大きさを定規で測って、縦と横の比率を計算すると約1.172になります。上の表からすると300*256が一番それらしいです。上の二つ以外は測定誤差と言えると思います。
また、参考までに「サンチアゴ・エル・グランデ」の大きさは400*300です。そして、「アートギャラリー現代世界の美術18巻ダリ」では、この2つの絵が見開きで左右に並んで掲載されています。左右見比べて、明らかに異なる縦横比の絵に同じ寸法表示がしてあるのは不思議な感じがします。