2016.11 ダリ展 国立新美術館

2016/12/27資料

ダリ展の外観

 今回のダリ展は国内では久しぶりに開かれる大規模なもので、京都市美術館に続く2個所目が、この国立新美術館です。2006年に上野の森美術館で開催された生誕100年記念のダリ回顧展以来のものとなりました。主催者は国立新美術館ですが、ガラ=サルバドール・ダリ財団(フィゲーラス)、サルバドール・ダリ美術館(セントピーターズバーグ)、国立ソフィア王妃芸術センター(マドリード)の作品の他に日本国内の主要な作品も展示して充実を図った展示会になっています。
 東京での展示では京都では展示されていなかった「ポルト・リガトの聖母」(福岡市美術館)や「テトゥアンの大会戦」(諸橋近代美術館)などの国内所蔵の重要な作品も展示されました。この2作品は大きさでも内容的にも多くの観客を集めていました。
 上の写真は、国立新美術館の正面脇に出されていた看板です。会期中日平日のお昼過ぎであまり混んでいませんでした。

全体の印象

 今回は国立ソフィア王妃芸術センターが出品している作品が多い印象です。私はまだソフィア王妃芸術センターを訪問したことがないので、初めて観る作品がありました。作品数は全部で100点以上ありましたが、いわゆる大作と言える作品がありませんし、「パン籠」関係や「ミレーの晩鐘」関係がないところが少し弱かったかな?

日本国内の作品

 今回のダリ展には日本国内の美術館から作品が出品されています。日本国内のダリ作品所蔵美術館といえば、諸橋近代美術館です。「テトゥアンの大会戦」(全画集No.1207)をはじめ「アン・ウッドワードの肖像」(全画集No.1069)と「ビキニの3つのスフィンクス」(全画集No.912)が展示されました。京都展では「テトォアンの大会戦」(全画集No.1207)は展示されていませんでした。
 
 さらに、「ポルト・リガトの聖母」(全画集No.981)福岡市美術館蔵や「海の皮膚を・・・・頼む」(全画集No.1225)長崎県美術館などは京都会場には展示されていませんでした。
 
 「テトゥアンの大会戦」と「ポルト・リガトの聖母」はその存在感を十分に発揮していました。この二つの作品が日本の同じ展示会で遭遇するのは3度目のはずです。
 最初は秋葉原のミナミ美術館です。ミナミ電器館7階に南学正夫社長が購入したダリ作品が展示されていました。その作品の内の重要な2作品でした。1986.9ミナミ美術館
 2度目は、諸橋近代美術館です。この美術館で2014年にダリ生誕110年・開館15周年記念展で企画展「LOVE STORY」開催時に「ポルト・リガトの聖母」を福岡市から借用することで実現しました。 

立体視作品

 立体視作品は京都1展と同様に「雲の中の戦い」(全画集No.1491、1492)が展示してありました。作品の説明には「特別な道具を使って2つの作品を観ると立体的に見える」旨の説明がしてありました。
 せっかくの立体視作品なのですから、鑑賞者が立体視を体験できる展示をしてほしかったといつも思います。その内容については京都展と同じなのでここでは省略します。

 立体視の原理については立体視の原理を参照してください。

メイ・ウェストの顔(全画集No.554)

 「リップソファー」(全画集No.552)などを配置して「メイ・ウェストの顔」(全画集No.554)を体験できるスペースが準備されています。部屋の顎の付近に立って鏡を見るとメイ・ウェストの顔が体験できる仕組みです。ポンピドゥーセンターのダリ展でも同様の仕組みがありましたが、鏡ではなくカメラで撮った映像を正面のスクリーンに映し出す仕組みでした。この仕組みは京都展と同じでした。
 展覧会は写真撮影禁止ですが、このスペースは出口付近のショップ脇に設けられていて写真撮影ができます。 

映画の上映

 映画がDVDで上映されていました。「アンダルシアの犬」「黄金時代」が繰り返し再生されていました。鑑賞用に椅子が10脚程度配置してあり、常に満席でした。上映時間が長くないので休憩にちょうどいい感じでした。

その他、参照映像