更新日:2003/11/03
英語タイトル | The discovery of America by Christpher Columbus(参照画像) |
制作年 | 1959年 |
大きさ | 縦410.2*横284.8cm |
所在 | セントピーターズバーグ、ダリ美術館 |
著作権所有者の許諾未了のため映像を表示していません。TASCHENの全画集を参照ください。上記No.は全画集に表記のナンバーです。 (参照画像はアートオブポスターさんです。) 管理人abe
管理人の感想 |
キリスト教と史実をテーマにした壮麗な雰囲気が良く演出されていて、様々な背景の中で、ガラの視線の力強さが印象深いです。
ダリの思惑 |
ダリは、スペインを賛美する絵としてこの作品の制作に執りかかりました。アメリカ発見の史実を使うのが奇異に感じますが、それがダリらしいところであると言えると思います。
コロンブスはスペイン人であるとスペインの人々は信じていますし、カタルーニャのヘローナ生まれであると主張する学者もいます。また、スペインのイザベラ女王の援助を受けてセビリアから新大陸へ向けて出航しています。(帰りはバルセロナ港へ戻り、バルセロナ港の中央通りにはコロンブス像が建てられている)
ダリはアメリカで成功しており、アメリカとスペインにまたがるコロンブスの新大陸発見のテーマを描く運命にあったのかもしれません。
ベラスケス |
この絵には、スペインの画家ベラスケスの描いた「ブレダの開城」と同じイメージが使われています。画面右上にある縦に並ぶ槍です。ほとんどの槍が鉛直に立っていて数本の槍が僅かに右に傾いている様子まで同じです。
キリスト |
この絵にはキリストが登場します。画面の右側を見てわかるように、縦の線の太さを変えることによって「十字架の聖ヨハネのキリスト」(油絵1003)が浮かび上がっています。
また、このキリストと上下対象に点描の手法で、キリストがはためく旗の中に浮かび上がっています。
もうひとつのキリストは下部の十字架にいます。この十字架を掲げているいる人物はダリ自身だと言われています。口髭らしきものがわづかに見えます。
ガラの登場 |
画面左側に置かれている旗の布がガラのまとっている布と一体になっています。旗を掲げているのですが、実際はガラを前面にしてアメリカへ乗り込んでいく構図になっています。ダリとガラが戦争から逃れてアメリカへ渡った時を象徴するものになっていると思います。
それにしても、ガラの毅然とした表情にダリ坊やの気持ちが映し出されています。