更新日:2003/05/10
英語タイトル |
Corpus Hypercubus(Crucifixion) (参照できる画像がありません) |
制作年 | 1954年 |
大きさ | 縦194.5*横124.0cm |
所在 | ニューヨーク、メトロポリタン美術館 |
著作権所有者の許諾未了のため映像を表示していません。TASCHENの全画集を参照ください。上記No.は全画集に表記のナンバーです。 管理人abe
管理人の感想 |
空中に浮いているキリストが、ガラに見つめられて、初めて神聖なものとなっているように感じられます。キリストにあてられている強い光が、白い肉体を浮き上がらせていて、「十字架の聖ヨハネのキリスト(油絵1003)」のような黄金の肉体のイメージは受けませんが、神聖で透き通るような(特に右腕)美しさを醸し出しています。
この絵の主題はキリストとガラの視線だと思います。
超立方体 |
この絵を見てわかるように、キリストは、十字架に架けられていません。8つの立方体の集まりと同化しているようになっています。タイトルに使われている「超立方体」とはどんなものなのかを考えて見ましょう。
まず、立方体とはどのように定義されているでしょうか?
「立方体とは、6枚の同じ大きさの正方形が、その端部で、互いに直角に組み合わされてできている3次元の図形」
この定義を、次元をひとつ少なくして言うとこうなります。
「正方形とは、4本の同じ長さの直線が、その端部で、互いに直角に組み合わされてできている2次元の図形」
逆に、立方体の定義を、次元をひとつ多くして言うとこうなります。
「超立方体とは、8個の同じ大きさの立方体が、その端部で、互いに直角に組み合わされてできている4次元の図形」
お気づきのとおり、超立方体とは、4次元での立方体のことです。4次元の形をキャンバスの平面上に表現することは出来ませんので、3次元に展開して表現したのがこの絵です。次元の違いで、展開した図形がどのようになっているかは、下の表を参照してください。
アンバランス |
この絵には大きなアンバランスがあります。キリストの体の大きさと、ガラの大きさを冷静に見比べてください。ガラが絵に向かって手前側にいるにもかかわらず、キリストの大きさに比べて、あまりにも小さく描かれています。
しかしながら、そう言われなければ気づかないと思います。画面の主人公がキリストだからだと思います。このキリストが神聖なのは、気高い姿のガラの視線で見つめられているからです。
この絵が描かれたのは、ガラの行動が手に負えない状態の時期でした。ダリはそんなガラを、単なる女性ではなく、神聖な存在と位置付けるために、たびたび高貴な姿で絵の中に登場させています。
模写 |
私は、この絵を模写しているところです。とは言うものの、ここ10年以上は手を付けていません。いつ完成することやらです。「模写1043」を参照してください。